A02-Ⅲ
A02-Ⅲ班:SOIピクセル検出器による自己像直接検出型タルボ・ロー干渉計の高度化
1895年にX線がレントゲンによって発見されて以来、X線透視撮影は医療やセキュリティー、非破壊検査など様々な分野で活用されてきたが、軽元素材料などはX線に対して比較的透明であり、十分なコントラストが得られないという問題がある。X線位相、小角散乱イメージングはこの欠点を克服し得る技術として各方面からその発展が期待されており、実験室系の装置で測定可能なX線タルボ及びタルボ・ロー干渉計が注目を集めている。
我々は、埋め込みX線ターゲットという独自のX線光源を用いることにより、X線タルボ・ロー干渉計の3枚のX線用格子のうち、光源格子と吸収格子の2つを用いない自己像直接検出型の干渉計を実証した。さらに、この光学系を発展させ、2次元の自己像直接検出型の干渉計へ発展させた。
しかし、現在用いている2次元検出器は蓄積型のSi-CCDであり、用いるX線のエネルギー分散に起因する計数値ばらつきのため、露出時間が非常に長くなっており、位相感度も制限されている。
そこで本研究課題では、SOIピクセル検出器を適用することにより、2次元自己像直接検出型X線撮像装置の性能を飛躍的に向上させることを目指す。
さらに、SOIピクセル検出器と埋め込みX線ターゲットの特徴を生かした新規な2波長2次元自己像直接検出型X線撮像装置の実証を目指す。
メンバー
研究代表者: 志村 考功(大阪大学工学研究科 准教授)
連携研究者: 渡部 平司(大阪大学工学研究科 教授)
細井 卓治(大阪大学工学研究科 助教)
論文等
•N. Morimoto, S. Fujino, Y. Ito, A. Yamazaki, I. Sano, T. Hosoi, H. Watanabe, and T. Shimura, “Design and demonstration of phase gratings for 2D single grating interferometer”, Opt. Express 23, 29399-29412 (2015).
•N. Morimoto, S. Fujino, A. Yamazaki, Y. Ito, T. Hosoi, H. Watanabe, and T. Shimura, “Two dimensional x-ray phase imaging using single grating interferometer with embedded x-ray targets”, Opt. Express 23, 16582-16588 (2015).
•N. Morimoto, S. Fujino, K. Ohshima, J. Harada, T. Hosoi, H. Watanabe, and T. Shimura, “X-ray phase contrast imaging by compact Talbot–Lau interferometer with a single transmission grating”, Opt. Lett. 39, 4297-4300 (2014).
•T. Shimura, N. Morimoto, S. Fujino, T. Nagatomi, K. Oshima, J. Harada, K. Omote, N. Osaka, T. Hosoi, and H. Watanabe, “Hard x-ray phase contrast imaging using a tabletop Talboot-Lau interferometer with multiline embedded x-ray targets”, Opt. Lett. 38, 157-159 (2013).